図解|AGAの原因は?髪の成長と脱毛(AGA)のメカニズム

AGA治療

AGA対策のためには、まずはAGAのメカニズムを知ることが大事です。

AGAを知るには「そもそもどうやって髪の毛ができているのか?」を理解する必要もあります。

医学的な話になるので、難しそうな印象があるかもしれません。

でも、メカニズムを知ることで自分が取り組むAGA治療にはどんな意味があるのかわかります。

ある程度はどんなメカニズムで薄毛が進行するのか把握しておくといいでしょう。

この記事ではわかりやすく、「髪の成長とAGAの仕組み」を説明していきます。

参考書籍 「薄毛治療の新常識」麻生泰 著

健康な髪の毛が成長する仕組み

まずは基本的な髪の仕組みと成長のメカニズムから。

髪の仕組みと成長のメカニズム

髪の毛は大きく2つに分けると次のような部位から出来ています

  • 毛幹…頭皮の上部分の髪の毛
  • 毛根…頭皮から下部分の髪の毛

「毛根」という単語はよく聞きますね。その毛根はさらに次の要素から出来てます。

  • 毛球…毛根の根元のふくらんでいる部分
  • 毛乳頭…毛球の先のくぼんでる部分。髪の生成を司る、言わば「司令塔」。
  • 毛母細胞…毛乳頭の周りの組織。分裂を繰り返して髪の毛になる、いわば「髪の毛の素」。

また、毛根近くには「皮脂腺」があり、皮脂腺は皮脂を分泌して、髪や頭皮を乾燥から守っています。

脂を出すからと言って基本的には悪い存在というわけではありません。

髪の仕組み
髪の仕組み

「髪の素」である毛母細胞は毛細血管からアミノ酸やミネラル分など栄養分を吸収することで、分化・増殖といった細胞分裂を繰り返します。

この指示を出しているのが「司令塔」の毛乳頭。

毛母細胞は毛乳頭の指示を受けて細胞分裂を繰り返しながら、毛根から押し上げられて毛幹(髪の毛)が作られていきます。

これが髪ができる仕組みです。

髪は部位によって変わりってきますが、平均1日0.2〜0.4ミリ伸び、1ヶ月だと約1センチ、1年で約12cm伸びます。

また、図では髪の毛が毛穴から1本ずつですが、通常は一つの毛穴から複数(2〜4本ほど)の毛が生えています。1本しか生えてない毛穴は全体の約2割だそうです。

これはクリニックなどで、マイクロスコープで見せてもらうとわかります。

私も見せてもらった際、健康な毛穴からは3、4本の太い毛が生えてました。

髪の毛が成長する仕組み・正常なヘアサイクルは2〜6年

健康な髪の毛と言えども、一生伸び続けるわけではありません。

髪の毛の元である毛母細胞は活動と休止を繰り返しているので、古い髪の毛は抜け、また新しい髪の毛が作られます。

このサイクルを「ヘアサイクル」といい、通常のヘアサイクルの周期は2〜6年です。つまり、1本の髪の毛の寿命は2〜6年

1つのヘアサイクルは次の4つの時期に分けられます。

①成長期[早期] 数ヶ月〜1年
…休止期を過ぎた毛球(毛乳頭、毛母細胞)から新しい髪がつくられる期間。
②成長期[中期・後期] 約2年〜6年
…成長を続け、太くしっかりした髪が生えている期間。
③退行期 約2週間
…毛根が徐々に縮んでいく期間。髪の元である毛母細胞が分裂を止め、一旦完全に活動を終える。
④休止期 約3ヶ月
…毛根が活動を再開するまでの準備期間。
健康な髪のヘアサイクル
健康な髪のヘアサイクル

この4つのヘアサイクルを繰り返して、髪の毛は毎日生え変わっています。

よく「通常、毎日50〜100本の毛が抜ける」といいますが、それはこの成長期を終えて寿命がきた髪の毛ということですね。

当然、正常な状態でであれば、抜けた分だけ生えてくるので、全体の髪の量は減りません。

平均的な男性の髪の量は約10万本。その内の1割の約1万本近くが休止期にあたるということです。

AGAの原因と薄毛が進行するメカニズム

よく聞く「AGA」というのはAndrogenetic Alopeciaの略で「男性型脱毛症」という意味です。
(Androgenetic=男性ホルモン、Alopecia=脱毛症)

20代に発症すると「若年性脱毛症」、年配で発症すると「壮年性脱毛症」と言ったりしますが、どちらもAGAです。

AGAのメカニズムを簡単に言ってしまうと、正常なヘアサイクルが乱れてしまっている状態と言えます。

成長期の段階の髪の毛が育つ前に抜けてしまう、もっと言うと、髪を作る司令塔「毛乳頭」の働きが早々にブロックされてしまうのが原因です。

では、なぜ健康なヘアサイクルが乱れ、成長期の髪が抜けてしまうのか?

「毛乳頭」の働きをブロックするものはとはなんなのか?

ここからも専門用語が出てくてややこしいので、図を使って説明していきます。

AGA・脱毛のメカニズムに関係するのは次の4つ!

AGAの原因となる要素は次の4つです。読んだら舌をかみそうな名前ばかりですね。

  • テストステロン=TS(男性ホルモン)
  • 5αリダクターゼ(還元酵素)
  • 男性ホルモンレセプター(受容体)
  • ジヒドロテストステロン=DHT(脱毛ホルモン)

「テストステロン(男性ホルモン)」と「ジヒドロテストステロン(脱毛ホルモン)」は名前が似ています。
そこからも分かる通り、元は同じものです。

男性なら誰でも持っている男性ホルモン「テストステロン」が変化したものが脱毛の原因となる脱毛ホルモン「ジヒドロテストステロン」です。

そして、「テストステロン」を「ジヒドロテストステロン」に変化させてしまうのが、「5αリダクターゼ」。

さらにその「ジヒドロテストステロン」と結合することで脱毛を促す原因となるのが「男性ホルモンレセプター」です。

難しそうですが、図にするとシンプルです。

AGAで脱毛するメカニズム
AGAで脱毛するメカニズム

テストステロンが脱毛の原因になるまでの過程

もう少し詳しく説明します。

睾丸で作られた男性ホルモン(テストステロン)は血流を通じて頭部の毛乳頭に運ばれます。それ自体は何の問題もありません。

しかし、「テストステロン」は皮脂腺から分泌される「5αリダクターゼ」と結合することで「ジヒドロテストステロン」に変換されます。

よく脱毛の原因は「ジヒドロテストステロン」と言います。その言い方も正しいのですが、これだけならまだ脱毛には至りません。

さらに、この「ジヒドロテストステロン」が毛乳頭細胞にある男性ホルモンレセプターと結合することで、髪の毛が抜けてしまうのです

正確にいうと、「ジヒドロテストロン」の感受性が高いか低いか、影響を受けやすいかが問題で、影響を受けやすいと抜けるようになります。

この「ジヒドロテストロン」の感受性の高さは遺伝すると言われており、「ハゲは遺伝する」のはこの感受性が原因と見られています。

(「薄毛治療の新常識(麻生泰著)」には「5αリラクターゼの分泌量の素質が受け継がれるため薄毛は遺伝する」とあります。)

このように遺伝的な影響も受け、「ジヒドロテストステロン」は髪を作る司令塔「毛乳頭」の働きをブロック。

成長期の途中の髪がで抜けてしまうため正常なヘアサイクルが乱れ、薄毛は進行していくことになります。

AGAの髪のヘアサイクル
AGAの髪のヘアサイクル

男性ホルモンレセプター自体がほとんど存在しない後頭部や側頭部ではAGAは起こりません。

どんなにハゲが進行してる人でも、後ろと横の髪の毛は残ってますよね。それは男性ホルモンレセプターがわずかしか存在しかない場所だからです。

ジヒドロテストステロンは脱毛だけでなく、皮脂の分泌の原因でもある

「5αリダクターゼ → ジヒドロテストステロン」は脱毛の原因となるだけでなく、皮脂の分泌を活発にします。

AGA関連のサイトで毛穴に詰まった皮脂の拡大画像を見たことがあると思います。

これは、れっきとしたAGAの症状の一つです。

油っぽい食事のせいとか、しっかり洗ってないからということではありません。
(そういった場合もあるかもしれませんが)

私も以前マイクロスコープで見せてもらった際、AGAが進行している生え際の毛穴には皮脂が多かったのですが、後頭部はまったく皮脂が見られませんでした。

同じ人間の頭でもこれだけ差が出るので、清潔さの問題ではありません。

それはつまり、シャンプーで皮脂を取り除いても、何も問題は解決しないということです。

また、AGAが原因で奥に詰まった皮脂は自分でシャンプーしても取り除くのは難しいです。

仮に取り除けたとしても、AGAの働き自体を止めなければ、過剰な皮脂の分泌は続きます。

そして、詰まった皮脂は脱毛を促す新たな要因となり、さらなる悪循環を招きます。

よく薬局で薬用シャンプーが売られてますよね。
「薬用」とあるし、使えば少しでも抜け毛が収まると期待するかもしれません。

でも、AGAのメカニズムをしっかり知っておくと、効果は期待できないとわかり、むやみに手を出したりガッカリさせられずに済みます。

一つの毛穴の毛は一気に抜けるわけではなく、徐々に抜けていく

もう1点補足。「ほとんどの毛穴からは複数の毛が生えてる」と書きました。

これは3本生えてたら3本一気に抜けるわけではありません。

最初は3本あったのが、1本は細い段階で抜け、2本に。またその内の1本が細いまま抜け、1本に。

最終的に1本も生えなくなるというイメージです。

これもマイクロスコープで見るとわかると思います。

私の場合も後頭部は3、4本全部が太い毛で、進行してる箇所は2本は太い毛で1本だけ極端に細い毛というのが見られました。

このように徐々に減っていくので、人によっては明らかに薄くなるまで気付かないこともあります。

私自身、頭頂部でもAGAの兆候が見られるというのは、自覚していませんでした…。

AGA治療薬のメカニズムとAGA治療薬「フィナステリド」の働き

「AGAのメカニズム」が分かれば、「AGA治療のメカニズム」も想像がつくと思います。

AGAが発症する過程のどれかをストップさせてしまえばいいのです。

例えばフィナステリドといった成分がその役割を果たします。

フィナステリドは内服薬のプロペシアの主成分です。

薬の名前で言った方がピンとくるかもしれないですね。

プロペシアは「5αリダクターゼ」の生成を防ぐことで、「テストステロン」と結びついて問題の「ジヒドロテストロン」も生まれません。

AGA治療薬(フィナステリド)の働き
AGA治療薬(フィナステリド)の働き

このように現在のAGA治療の多くは「ジヒドロテストロン」の生成を抑制することで薄毛の進行を改善させる方法をとっています。

髪の成長と脱毛(AGA)のメカニズム まとめ

AGA(男性型脱毛症)のメカニズムの説明でした。

やや難しい部分もありますが、治療に取り組むにあたって最低限の知識はもっていた方が良いでしょう。この記事で、一通り確認してもらえたらと思います。

AGA治療薬についてはまた別記事で取り上げてますので、そちらもぜひ読んでみてください。

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